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2014年5月

炭素を循環させるってどういうこと?

先日、ツイッターで「炭素循環農法ってなに?」という会話がされていた。普通に循環型農業をやっていると結果として炭素を循環させることになるのだが、わざわざそういった「農法」を名乗る以上、何か特別なことがあるのかと思って調べてみたら、基本的には炭素を循環させることでその他の肥料を施用しなくても栽培できる、という技術らしい。

もちろん農業というのは物質的な収奪を行なっている以上、無肥料(成分)というのはありえない。肥料を施用しない代わり、何かが田畑に入っているはずではある。そのあたり、ツッコミどころはあるのだが、どうも炭素循環農法にもいくつか流派があり、さらに個別に色々な工夫があるので、それぞれを個別にどうこう言うのは非常に難しい。そこで、とりあえず今回は「炭素を循環させることの意味」についてのみ解説したいと思う。

炭素は植物にとって、というより生物にとって最も基本的といっていい元素だろう。「有機物」という言葉を説明するとき、「炭素を含んでいるもの」というとかなりの確率で当てはまると思う。例えば植物にとっては水素、酸素と結合して多糖類として繊維となったり、少し小さくなってでんぷんなどになったり、さらに小さくなって単糖(ブドウ糖や果糖など)になったりして様々な形態で必須のものとして存在する。要するに、植物にとっては体を構成する最も基本的で、大量に必要な元素ということになる。

しかし、植物は「光合成」という手段を使って、光エネルギーを利用して大気中の炭素を取り込むことが出来る。ではなぜわざわざ栽培者の手で循環させねばならないのだろうか。答えの1つは、以前も説明したことがある土作りである。

土作りは、主に有機物を施用することによって土壌の物理性や化学性を改善するということになるが、そのうち、最も重要な役割を担っているのが腐植酸(フミン酸)である。土壌中に施用された植物体(堆肥化されてからのことが多い)が土壌微生物に分解され、最終的に残ったものが腐植酸で、濃いこげ茶色で粘性が高い状態で土壌中に存在する。これが細かい土壌粒子同士をくっつけて団粒構造を作り、土壌の排水性、保水性といった物理性を改善すること、陰荷電を持っているため、陽イオンである塩基類(石灰、苦土、加里など)を保持して緩衝力を高めることは以前のエントリーで説明したとおりである。

その腐植酸であるが、元素の組成としては半分以上が炭素であり、あとは多い順に酸素、水素、窒素などを含む。これが先ほども述べたように、土作りに大きく関与するが、その構成元素として炭素が最大であるので、主に植物体を土壌に還元して炭素を供給、土壌の炭素率を向上する事は大きな意味を持つ。

先ほど、腐植酸は土壌で有機物が分解され、最終的に残ったものと書いたが、もちろん腐植酸もゆっくりではあるが分解され、二酸化炭素や水などになり、自然循環の環に戻っていくのである。

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