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やっぱり反対しておく、TPP

今までTPPに関してははっきりした態度を表明していなかった。それは、自分の中でTPPに対しての考えがしっかりとまとまっていなかったからだ。では今回、エントリを挙げるに当たって考えはまとまったのかというとまだである。しかし、そんなことを言いながらもにょもにょしているうちにどんどん先を越されてしまった。特に、最近twitterでフォローさせていただいたこうめさんはしっかり自分の考えを持ち、TPPに対する考えを表明されている。そこで、自分も途中経過ではあっても自分の考えを披瀝しておく必要があるだろうと考えた次第である。

さて、私は現時点でTPPに対してどう考えているか。少し前までは参加やむなし、それで向上した分の景気を農業政策に使う、あるいは国として国民として国産農作物を買い支え、日本の農業と農地を守るしかないと思っていた。いや、今でもそう思っている。ただ、やむなしの内容が少々変わった。以前はやや積極的にやむなしと思っていたのだが、今では流れ的に止めようがないのではないか、と言うスタンスだ。それならばTPPに参加するまでに農業政策についてどこまで踏み込むのかをしっかり決めておくべきだし、国民全体がきちんと判断できるように情報提供も徹底しておくべきだろう。そのためには自分も微力ながらできることはやっておきたいと思っている。

さて、その上で自分としてはどう思っているのか。表題の通り反対である。まず、農業の面だけを見れば、稲作では持続可能な価格が維持できないのは火を見るよりも明らかであろう。日本の土地の利用効率を考えれば、アメリカやオーストラリアに適うはずもないのは今更私が言うまでも無く、多くの人が指摘していることだ。それらの国にどれだけ日本向けの短粒種(ジャポニカ米)栽培の適地があるかわからないが、少なくとも日本よりは一筆の面積が大きなほ場は多数確保できるだろうし、日本への輸出が効率の良い商売になると言うことになれば、ジャポニカ米に転換する産地が出てくることは想像に難くない。それで、日本の水稲作が壊滅状態になったとしたらどうなるか。これも多くの方が指摘しているようにその周辺産業への影響がどこまで波及するのか想像もつかない。また、野菜などはまだ勝負できるとは思っているものの、露地野菜は水稲作なくしては成り立たない場合が多い。結局品質や収量も今のままとは行かなくなる公算が大きいのである。
つまり、何の対策も打たなかった場合、少なくとも今より農業の状況は確実に悪くなる。現在の農業が他の産業に類を見ないくらい好調であるのならまだしも、現時点ですら滅多なことでは新規就農を薦められないような現状で、なお悪くなることがわかっていてその方向へ進む政策を支持できるか。少なくとも自分にはできない。

それと、自分として心配なのは輸出産業が好調になったとしてそれで本当に好景気がやってくるのか、と言うことだ。たとえ一部企業(どのくらいの規模かは想像もつかないが)が儲かっても、国内に目を向ければ農作物以外にも関税のかからない物品が大量に入ってくることも考えられる。TPPに参加しない中国からの現時点の輸入ですら、これだけ国内の様々なものの価格を下げている。つまり、今以上にデフレが進行することが懸念されるのだ。
私は経済学にはずぶの素人なので、間違ったことを言っていたら指摘していただきたいのだが、デフレになれば確実に経済は停滞するのではないか?ものが安くなると言うことは買う方からすればありがたい面もあるが、投入されたエネルギーに対して動くお金の量が少なくなるため働いても働いても売っても売ってもお金が世の中を回らなくなる。好景気の時というのはアイディアやサービスに対して大きなお金が動くものである。今は良いものでもより安くが正義である。TPPが発動することによってそのデフレがさらに加速しないだろうか。どう考えてもデフレ傾向が強まるとしか思えない。そうなれば、景気浮揚による農業への投資という自分の考え(希望)も困難だと言うことになろう。不景気に喘ぎ、明日への希望も見えない中で高い国産農作物を買い支えてくれと誰が言えようか。そんな事態に陥る事が目に見えていて、TPP参加すべし、と軽々しくは私には言えない。

おそらく、TPP参加によって経済がどのように動くのか正確に予測できる人はいまい。しかし、最悪の事態を想定することは様々な知恵を集めればできるはずだ。そして、それを避ける知恵も、不幸にして最悪の事態に陥った場合にもそのダメージを最小にする知恵も出てくると思う。少しでも幸せな明日を夢見るためにも多くの人に考えてもらいたい。どのような結論を出すにせよ、声の大きな人に引きずられて失敗した過去の政治の愚を繰り返すことないようしっかり考えていくべきだろう。

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コメント

「農業の面だけを見れば、稲作では持続可能な価格が維持できないのは火を見るよりも明らかであろう」

まったく明らかではありません。
そもそもこの議論の前提において、
現段階で持続可能な価格のようにまとめていますが、
圃場規模によって、持続可能な方とそうでない方がいます。

農水省HPで発表されている農産物生産費統計を確認ください。

0.5ha未満の人の場合、生産コストは1俵あたり20600円
10ha以上15ha未満の場合は、生産コストは9600円です。

ですから、現在の価格そのもので維持できない人がいるということです。しかしながら、そう言う人が農業を続けていられるのは農業外収入がその世帯にあることを意味しています。

また、オーストラリアは気候条件、水不足からほぼ米の生産をやめてしまい、輸入国になっています。米国はTPP参加国の中で唯一の米生産国ですが、ジャポニカ米の生産量は年々減少の一途をたどっています。

農業の文脈において「TPPなんとなく反対」派に多いのですが、農水省の統計の具体的なデータを読まずに、日本農業は弱いのではないかという漠然とした感想を持つべきではありません。

投稿: 苦笑 | 2011年3月 5日 (土) 15時38分

ついでいうと、きっちりデータを見ないで
TPP問題について賛成反対の態度を出すというのは、
ホメオパシー信奉者の態度と
あまり変わりないのではないかと思いますよ。
要するに、科学的ではない。

あの農家こうめさん含めて、
農業になるとこうなるのか不思議でならない。
ホメオパシー批判が滑稽に見えてきます。

投稿: 苦笑 | 2011年3月 5日 (土) 16時23分

>苦笑さん

コメントありがとうございます。

このあたりわかりにくい書き方をしてしまったようですね。現時点で稲作が儲かっていない、持続可能な価格にはなっていないことは私にもわかっています。また、オーストラリアを例に出したのはジャポニカ米輸出国だからではありません。しかし、私が稲作の例に続いて出してしまったのですから、そう思われても仕方ないというか、それが当然で全く申し訳ありません。

ただ、あなたは私のこのほかのエントリはお読みになっていらっしゃいますか?私は野菜類が専門の技術者ですから野菜の話ではありますが、農作物の適正価格についてもお話しさせていただいています。読まないでどうこう言うなとはいいませんが、読んでいただけたら私の農業に対するスタンスはご理解いただけると思います。その上でこのようにおっしゃっているのならそれはそれであなたのご指摘にも首肯できるところは多々ありますのでご意見として拝聴したいと思います。

また、あなたは日本の農業が弱くないと思っていらっしゃるようですが、現時点で国内農作物価格が維持できているのがかなり無理をしている状態だということはおわかりでしょうか。農水省のデータを見ていらっしゃるようなのでおわかりだとは思いますが、農家の皆さんはこんな価格でも作りたいから作っている、そういう人は多いのです。正直言ってTPP関係なく、今のままでも何の手も打たなければ農業は衰退していきます。今の農作物の小売り価格がこの程度で済んでいるのも、あなたのご指摘のように兼業の方や年金で生活しながら細々と農業を続けていらっしゃる方に支えられているからです。そのあたりは、私は農家の皆さんの経営収支を仕事上垣間見ることがありますので、よくわかります。また、こうめさんについては統計などではなく、自分の収支でものをおっしゃっていると思いますから、実感としてかなり危機感をお持ちなのでしょう。

ともあれ、諸外国の実情については詳細なデータを見ずに論じていたのは事実で、もっと勉強したいと思います。ご指摘ありがとうございました。

ひとつだけ、「苦笑」というハンドルは捨てハンドルっぽいのでそこが少々気になります。できれば、あなた個人を表すハンドルをお使いいただけるとありがたいです。もし、それが私の思い過ごしで、どこでも「苦笑」で通していらっしゃるのなら大変失礼なことを申し上げました。その場合は伏してお詫びいたします。

投稿: がん | 2011年3月 5日 (土) 20時14分

すみません、苦笑は捨てハンドルのつもりでしたが、
他のTPP反対の理論において間違っている方、
具体的には農家こうめ氏のサイトでも使っていますので、
これで通します。

また、別に謝っていただく必要はありません。
勝った負けたを決めるわけではなく、
あなたの文体は農家こうめ氏とは違って、
誰かを傷つける意図や中傷的言質は感じられませんので。

さて、リプライの一文からして誤認です。あなたの頭の中で結論が出ているのが分かります。
「現時点で稲作が儲かっていない、持続可能な価格にはなっていないことは私にもわかっています」
持続可能になっていないのは、極小規模の農家だけ、です。
もちろんあくまで統計上の話ですが、事実でしょう。

規模拡大ができなかったわけだから、兼業農家であり、
あるいは経営努力を果たさなかった農家だろうと思います。
中山間地の農家なのできないという意見もありえますが、
経営能力がある方は圃場を点在させても規模拡大を果たしているという現実があります。

またコメ生産にかかる年間の労働時間も、他の作物よりきわめて少ないです。これも農業センサスを見れば分かります。

また、あなたのエントリーは読ませていただき、あなたの思いは理解できました。いいこと書いてるなと普通の人は思うのでしょうが、私からすれば大変だという農家を見る目線はともすれば差別的だなと感じました。農家を十把一絡げにし、あなたのフィルターから外れてしまった、きちんと低価格でも経営努力を続けてきた農家をもバカにしているのではないか、ということです。

たしかに、野菜がスーパーの目玉商品になって価格を下げているという現実はあります。しかしそれはマーケットの要求です。それに対して自らの経営を変えていく人たちがいることを忘れてはいませんか?

「農家の皆さんはこんな価格でも作りたいから作っている、そういう人は多いのです」
自らの欲求を満たすため、経済合理性に見合わないのに作り続ける人は多いということですよね。それは究極的には、趣味の園芸、家庭菜園ではないですか? 事業者ではないはずです。

たとえ農業が赤字になっても補えるためだけの収入があるはずです。もし農業外収入がなくて赤字の事業を続けて路頭に迷ったとしても、それは本人の責任です。それはラーメン屋であれ、クリーニング屋であれ、会社経営者だって同じことです。

「あなたのご指摘のように兼業の方や年金で生活しながら細々と農業を続けていらっしゃる方に支えられているからです」
副収入がある時点で都市生活者よりも収入が高いことがわかりますね。また支えられているとはいいますが、じゃあどの程度、こういった高齢農家・兼業農家が日本の農業生産に貢献しているのか、ということを具体的に検討しなければいけないでしょうね。

現在は農業委員会や土地改良区をはじめとする農業周辺の既得権益団体や政治家、行政は、日本農業への貢献度を度外視して農家は農家と一律にみなしています。

その結果として、戸別所得補償にともなう貸しはがしが各地で起きていることをどう思いますか?

もうひとつ、兼業農家や高齢農家が出荷先に選ぶ直売所で残留農薬事故が頻発していますが、それを例に考えますと、片手間で仕事をしていたり、加齢により注意力が散漫になる傾向は高くなるのは否めませんが、そういう方々に高度な農産物の安全性を求められることができますか?

「私は農家の皆さんの経営収支を仕事上垣間見る」ということですが、資材代が高い農協から買わないようにするとか、経営を改善する選択肢を個々の農家はとっていますか? 農機は新品で買わずに、中古で買っていますか? 機械メンテナンスは農機屋に任せるのではなく本人でできていますか?

いずれもやっている人と、やっていない(やれない)人がいるだけです。 

投稿: 苦笑 | 2011年3月 6日 (日) 11時42分

荒らし認定ですか。あなたの発言Twitter上で見ました。

投稿: 苦笑 | 2011年3月 6日 (日) 11時51分

>苦笑さん

コメントありがとうございます。

私のtwitterの発言をご覧になりましたか。人によってあのように態度を変える方の発言ですから、信用できないのも仕方ないのではないですか。何度もやりとりをされた中で、ああいう雰囲気が醸成されてきたのならそういうこともあるかもしれませんが、こうめさんに対していきなりあの態度はありません。あなたの目に触れにくいところであのような発言をした私もあなたばかりを責められるものではないですが、公に公開される場で他人と意見交換を行うのならそれなりの態度というものがあるはずです。そこのところを何とかしていただかないと私はあなたを人として信用できません。

それはともかく、あのtwitterでの発言に関しては卑怯な態度だったと思いますので、謝罪します。それと、ここではあなたもそれなりのリソースを割いてここへ書き込んでくださっていますので、私としてもそれにはお応えしたいと思います。

さて、儲かっているといってもそれが生活を成り立たせることができるだけのものかが問題だと思います。私は瀬戸内地方在住ですので、こちらには大規模と呼べる稲作農家はほとんどありません。少なくとも、私の知る範囲では稲作だけで生活が成り立っている農家はありません。というのも、こちらでは中規模の農家までしか存在しないからです。こちらで生活がそれなりにでも成り立っている農家は必ず複合経営です。
そういう複合経営で儲かっている農家さんがどれだけ長時間の労働をしているかご存じですか?その上、独自販路開拓や実需者ニーズに合わせた商品開発などの努力には本当に頭が下がります。あなたは後半で農協以外で資材を購入したり、中古農機を購入したり、農機の整備をしたりしてますかと問いかけていらっしゃいますが、現在の状況では農協から離れてやっていけるのはそういう農家さんが少数であるから成り立っているのだと思います。農協はもっと農家自身が事業主として成り立つよう改革していく必要があると思いますが、すぐに方向転換できるものではないでしょう。また、中古農機は確かに安いですが、それが必ずしも有利であるとはいえません。これも新品の農機を買われる方がいらっしゃるから出てくるものですよね。つまり、自分が欲している使用の農機が必ず手に入るとは限りません。だからそれも根本的な解決となるものではないはずです。もちろん、経費圧縮のための選択肢としてはありではあります。
また、兼業で仕事をしている農家の場合、会社勤めをしている名義上の経営主の年老いた両親の労働に支えられているケースが多数あります。ということを考えると、副収入があるといっても無償の労働力があるからこそ成り立っているのですよ。そういう兼業農家は、その無償の労働力が失われたらどうなると思いますか?稲作だけの場合、主要な管理は土日だけでも何とかなりますが、普段の水管理など勤めながらだとできないこともありますよ。用水など毎日自由に使えるほど流れていないことも多いのです。

点在している圃場でも規模拡大している人はいる、といいますが、その場合思ったほど効率は上がっていないと思います。そうなると統計に出てくる労働時間だけでは済みません。大きな一筆の圃場ではなく、小さい圃場に何度も農機を移動させて出し入れする無駄がわかっていますか?圃場が小さければトラクターの転回など無駄な枕地がそれだけできることはおわかりですか?離れていてでもある程度効率の上がる圃場などそれほど多くあるわけではありません。先見の明のある農家さんはいち早く規模拡大を行ってそういう圃場を押さえていますが、残った圃場はどんどん条件が悪くなっていきます。それでもみんながみんな大規模経営がそのまま成り立つのでしょうか。中山間地でなければ何とかなる、なんて甘いものではありません。

そうやって赤字事業を続けて、路頭に迷っても本人の責任ですとおっしゃいましたが、それはその通りでしょう。ですから、小規模農家は路頭に迷う前に世代交代をきっかけに今でも離農していっている農家は増えています。具体的データは今示せませんが、私が関わっている品目については農家数が減っていっていることは間違いありません。

あなたのご指摘のように、赤字になりながら作っている人が日本の農業を支えている割合は私はデータを調べていないのでわかりません。それをはっきりさせない限りそれについて論じるな、といわれたら現時点ではどうしようもありません。もっとリテラシーや情報収集力をを磨いて出直しますので、しばらくお待ちくださいとしかいいようがありません。

所得補償にかかる貸しはがし問題ですが、これは正直に申し上げて自分の中で整理がうまくついていません。こういった補償は必要であると思いますが、今の制度は急ごしらえの印象が強く制度上の不備が多いとは思いますが、今の私にはどうしたらいいのか具体的には申し上げられません。

農薬残留事故については、高度な安全性とおっしゃいますが、安全性の担保については高度な技術は必要としません。もちろん、近年は農薬の種類とそれに対応する農作物の品目が増えすぎて高齢の方には理解が難しい面があることは確かです。そのあたり、少しでも理解が進み、事故を減らすことができるよう講習会の開催や個別指導の努力を続けているのです。これについては守っていただくしかないのです。できるだけ簡単に事故を防ぐことができるような仕組みが作れるよう努力しますとしかいえません。農薬取締法も完璧な法律だとは思えませんが、安全性の担保のためそう決まっている以上守るしかありませんし、自分には今のところよりよい方策はありません。

私の話にもいろいろ不備があり、完璧でないことは確かです。それはあなたのご指摘通りでしょう。しかし、自分が知り得た事と現時点でわかっていることを天秤にかければ、このままで農業に明るい未来が待っているとはとうてい思えません。やっている人とやれない人がいるそれはその通りですが、みんながみんなやれることをやったらうまくいくのか、そんな甘いものではなく、さらにその中から淘汰されていくと思います。そうやって生き残った農家は裕福な暮らしができるようになるかもしれませんが、そういった少数の農家だけで現在と同じだけの規模の国内農業が守れるとは思えないのです。
じゃあ、どのくらいの農家が生き残れて、どのくらい耕地面積が減るのかデータで示せ、とおっしゃるかもしれません。それについては私には計算できるすべも調べるべきデータもわかりません。そんなことではお話にならない、おまえの話は聞く価値がないとおっしゃるのならこの話はここまでです。

最後に、こうめさんのところでもああいう失礼な物言いを撤回し、冷静な議論をされることを期待しています。できるはずだと信じています。

投稿: がん | 2011年3月 6日 (日) 20時20分

私は誰に対しても謝りませんので、あなたも私に対して
謝らないでください。そしてその謝意は決して
本意ではないでしょうし、
私を荒らしと認定されるのであれば、
それはそれで結構です。

ただ、あなたがホメオパシー信奉者に求める態度と同じように、
農業という分野において、
ご自身がどれだけ科学的な態度をとっているのか、
自問自答されれば結構だと思います。
そしてそれは農家こうめ氏に感じた思いです。

経済的合理性がないのに生産をやってしまう農家は
科学的態度ではありませんし、
ホメオパシーなるものにすり寄せられる妊婦もまた
科学的態度をとっていません。

人間なるものはそもそも科学的な動物、なのでしょうか?
あいつらは科学的ではないと非難しているのに、
自らはあたかも科学的であるという立ち振る舞いには
反吐が出るほど辟易するとともに、またそこに
人間が科学的ではないことのおかしさがあるように感じます。

さておきまして、
あなたのお答えに対して、主要な部分について申し上げます。

そもそも瀬戸内という地域で、稲作をすること自体が
経済合理性に反しているのでないですか?
適地適作とはいえないし、ブランド力もない、にもかかわらず
コメを作りたい、というのであれば経営を
黒字化するためには、当然ながら複合経営をするはずです。

経済合理性に見合わない作物を選択しているのであれば、
長時間頑張るのも当然です。
公務員と違って、事業者は経営を黒字化しなければ
首を吊るだけですので。
それをもって「農家は大変だ、応援しなければいけない」
ということにはなりえないのでは?

適地適作、付加価値が高いものばかりとは言いませんが、
マーケット、消費者に求められる農作物を作ればいいだけです。
そしてあなた、というか行政はそれに適切なアドバイスをすれば
いいだけではないですか?

黒字化できない、過剰に労働力を注入している農家を
心情的に応援したとしても、
そしてその場しのぎの補助金で救ってあげたとしても、
なんら問題の根本的な解決ができず、
傍観者であり続けるだけです。単なる責任逃れです。
ユーストリームで自殺する人を中継で見ている人と
ほとんど違いはないのではないですか?

もちろん極論です。役人機構の中でそうはいえないことを
承知であえて申し上げます。

「農協はもっと農家自身が事業主として成り立つよう改革していく必要があると思いますが、すぐに方向転換できるものではないでしょう」
すぐにはできないとはいえ、現実的には農協法の趣旨に反した事例が各地で散見されています。それをとりあえずは是認するということでしょうか。ではいつどうされますか? できますか?
農協は組合員たる農家が出資して作っていますので、
できるかできないかは農家次第ですが、
現状のままでできますか? 
TPP参加を契機に変わればいいのではないですか?

「そういう兼業農家は、その無償の労働力が失われたらどうなると思いますか?」
兼業でなくなればいいだけだと思います。専業農家になるか、離農するかどちらかです。それは個々人の判断。そもそも無償の労働力に期待すること自体、経営ではないです。

「大きな一筆の圃場ではなく、小さい圃場に何度も農機を移動させて出し入れする無駄がわかっていますか?」
分かっています。稲作適地ではすでに畦を取り払って一筆の圃場にしています。瀬戸内ではそうはいかないでしょうが。
そう考えると圃場に大規模化は意味がないわけではなく、
農家こうめ氏の言うのとは違って、
大規模化でコストダウンが多少なりとも実現できます。

残留農薬の事故についてですが、あそこで言いたかったのは、マーケットなり保健所が人体に影響ないレベルなのに、基準がいささか厳しすぎる、過度に高度な安全性を求めているということです。ただ、いやだからこそ高齢農家・兼業農家がドリフト対策ができているのか、農薬の瓶をきちんと管理できているのかなど疑問というか不安が否めません。

最後に、経営能力のない農家は淘汰されればいいと思います。
いやされなければ日本には未来はありません。

とはいえ、淘汰された農家の中には、経営能力がないだけで、作業員としては優秀かもしれません。そういった農家のDNAを持った人(←科学的ではないですがあえて)をきちんと労働力として雇用し、そして同時にプライドを持たせて、すぐれた経営マインドをもった農家の下で活用すればいいだけです。

ほかの産業がそうしてきたようにね。

投稿: 苦笑 | 2011年3月 7日 (月) 12時27分

>苦笑さん

コメントありがとうございます。

私が謝ったのは、私の信念からです。本心ではないといわれるのは心外ですが、自分のあの態度からすれば仕方ありません。私はあくまで本心からの言葉だと自分では信じていますが、あなたがそうおっしゃるなら深層心理でどこか反発しているのかもしれません。

あなたの主張はよくわかりました。あくまで経済原則に則って農業を効率化していけば必ず儲かる農業は実践でき、その方向へ進んでいくべきであるということですね。そうすればTPPにも対応できるはずだと。私は以前、農業を最も効率化させるには国内で必要な品目と量を決め、それを最適地から計画的に振り分けていくという考え方を示したことがあります。たぶん、経済原則に則っていけば、そのままではないでしょうが、そういう方向へ向かうものと思われます。あなたのご指摘のように、瀬戸内やその他西南暖地では稲作専業は壊滅状態になるでしょう。あなたは複合経営にすればいいというスタンスですから、それも大きな問題ではないのですね。その上で、食料安全保障上問題のない自給率と環境の保全が実現できるとお考えな訳ですね。
私はそれに対して、前のコメントでも申し上げたようにそうなった場合にどれだけの農地と食糧が確保できるのか推定できるようなデータを示すことはできません。その上で申し上げますが、あなたは無償の労働力が失われたら専業になるか離農すればいいと簡単におっしゃいますが、仮に離農した場合大規模化を指向する担い手がすぐに引き受けるかどうかは微妙です。それでもあなたはしょうがないとおっしゃるでしょう。しかし、そうやって失われた農地は簡単には元に戻らず、やはり必要だった、となって農地復帰を目指しても何年も辛抱しなければならないということになります。

それから、TPP参加を機に農協も農家も変わればいいとのことですが、確かに変われたらいいですね。しかし、TPPはかなりの劇薬だと思います。おそらく農協と、それに関連する産業がかなりの痛手を食らうことでしょう。それも身から出た錆ということになるのでしょうが、それに巻き込まれる人々がどういうダメージを食らうのか考えると空恐ろしくなります・・これは科学的な態度ではないといわれてしまうかな。

それから、高齢化した農家や零細兼業農家では農薬の管理に不安があり、そういう管理がしっかりできる担い手だけになれば、そういう心配もなくなるのではないかということだったんですね。そういう意味で、農業は技術だけではなく、形態まで近代化するべきだという主張ですね。

とにかくあなたは農業もほかの産業と同じく、合理的に経済原則を適用してやっていくべきであるとお考えなのは理解しました。農業はそうではなく、食糧の確保は国の根幹であり、環境の保全に対しても必要であるというだけで、経済的インパクトなどをデータとして示せないのなら、そのほかの偽科学などに対して科学的態度を示せ、という主張と矛盾しているじゃないかとおっしゃっているわけだ。

何度も申し上げますが、そこまでのデータは私には示すことはできません。しかし、あなたもご理解なさっているとおり、その考え方を全国一律に適用すれば地方によっては生活環境や自然環境の激変を招く可能性が大きいと思います。そのインパクトを計算するすべは今の私にはありませんが、それを考えるとやはりTPP参加に対しては慎重な考えを変えることはできません。あなただって、それが絶対に大丈夫だという根拠を示すことはできませんよね?でも、そんな心配をしていては前に進めないという考えも理解できます。

>最後に、経営能力のない農家は淘汰されればいいと思います。
>いやされなければ日本には未来はありません。

ここについてはいいとは思いませんが、いずれそうなっていくと私も思います。兼業農家の若い世代を見ていると石にかじりついてでも農業をやるとは思えないし、零細で儲からない農業を続けろとは私もいうつもりはありません。しかし、負のインパクトを少しでも小さくするためにソフトランディングを目指していきたいのです。あなたの期待(してないか)に応えられるかどうかわかりませんが、自分にできる範囲で努力は続けていきます。

しかし今回、あなたとのやりとりは本当に勉強になりました。あなたは私にTPP反対を叫ぶな、と言ったのではなく(最初はそう思えました)、あなたの考えからすると私のこのエントリのここが間違っているという指摘をしてくれただけでしたね。これも本当に本心からの言葉です。信じてくれとはいいませんが、意義あるものにしたいと思っています。

投稿: がん | 2011年3月 7日 (月) 20時15分

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