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2010年8月

意外に重症だったVTRの不具合 (’10.8.22追記)

以前、VTRのエンジンが不調に陥った話を書いた。交差点などで停車した時、アイドリングがストップし、アクセルを煽れば何とかかかるもののマフラーから白煙をもうもうと吐く。しばらくすると白煙は収まり、何事もなかったように走り出す・・・。
これ以外は高回転まできちんと回るし、寒い朝でも一発でかかるし、トルクも出ていた。燃費もほぼ30km/l走っていたので、不具合はそれほど重症ではなく、単なるオイル上がりだろうと思っていた。白煙の様子も水蒸気ではないように思えていた。しかし、これがとんでもない勘違いであった。

できるだけ安全に乗りたいので、時々自分でも点検していたのだが、7月の頭に点検したところ、冷却水が異常に減っていたのだ。これまでも減りがちょっと早いかなとは思っていたものの、点検するごとにゲージで普通に測れる程度の減りようだったので、水をつぎ足しつつ何とも思わずに使っていた。そのときもおかしいとは思いつつ、エンジンは相変わらず普通にかかるし、走りには特に異常は感じられなかったため、水をつぎ足した。その後、数日通勤に使ったあと心配になったのでまた点検してみると、リザーバータンクのゲージに全く引っかからないほどまた減っている。これはさすがにまずいと思い、最近面倒を見てくれるようになったバイク屋へ持って行った。

「もしかして、サーモスタットのセンサーが悪くなってて、冷却水が高温になりすぎているのかもしれませんね。それで冷却水が蒸発して減りが早いのかも。ちょっと点検してみますので、お預かりしますね」

と言うわけで、バイク屋に預けたのだが、次の日に早速もう一度行ってみた。

「ときどき、ボコボコ泡が出るような音がしてませんでしたか?」
「そういえば・・・そう言う事があったように思います」
「おそらく、ヘッドのガスケットが劣化して、排気が冷却水に入り込んでいたんでしょうね。それで冷却水がシリンダーに入り込んで、エンジンが止まったり、白煙を吹いたりしていたんだと思います。ヘッドのガスケットは部品代は安いんですがエンジンをおろして、ばらさないといけないので7~8万くらいかかりますが、どうします?」
「う~ん、高いなぁ・・・でも、直すしかないですよね・・・」
「中古の調子のいいエンジンを買って、交換したら安く上がると思いますよ。良かったら探してみましょうか?」
「お願いします」

バイク屋に持って行った時、VTRはほとんど冷却水がない状態だったようだ。それでよく普通にエンジンが掛かり、バイク屋まで走って行けたものだ。運が良かっただけかもしれないが、事故に遭うようなトラブルが起きなかったことは、ホンダエンジンの丈夫さに感謝しなければならないだろうか。

と言うわけで、バイク屋に中古エンジンを探してもらったのだが、なかなか状態のいいものが見つからなかったようだ。継続して探すので、一旦バイクを返すと言ってきた。返しに来てくれた時に、バイク屋の店長に自分の責任でネットオークションでエンジンを探してみるので、それを持ち込んでの修繕にしてもいいか聞いてみたところ、快諾してくれたので、ヤフオクで探してみる事にした。

最初に見つけたものは、29,800円だったが、不足しているパーツも多く、サビなども目立つように思われたため、ウオッチリストに入れたが入札せずに様子を見ていた。その後、見つけたエンジンは自分と同じ型式のVTRではあるが後期型のもので、説明文によると走行8,000kmの車体からはずしたものであるという。好調であるとも書いてあるし、写真でも綺麗に見えた。価格はというと、現時点では24,800円がついている。と言うか開始価格のままで入札がない状態だった。と言うわけで早速入札してみたところ、そのままの価格で落札できたので、あらかじめ承諾をもらって送り先を件のバイク屋にしてもらった。

数日後、バイク屋からエンジンが届いたとの連絡があり、店長が車体を引き取りに来た。それから、2~3日で修理が終わるかと思いきや、1週間経っても連絡がない。ボチボチこちらから電話してみるかと思っていた矢先、バイク屋から連絡があり、修理が完了したとの事。早速その日は急いで帰宅し、連れ合いにバイク屋まで車で送ってもらった。

修理代は36,000円強であった。エンジンの交換工賃そのものは21,000円ほどであったが、アクセルのワイヤーが切れかかっていた事、年式が微妙に違っていたためプラグの径が違い、プラグコードを交換しなければならなかった事などからそれらの部品代や工賃までかかり、結局その値段になったのだという。それらの部品を新たに発注したため、入荷まで時間がかかった事で修理が遅くなったという事だった。アクセルワイヤーが切れかかっていたというのは全く気がつかなかった。点検しても異常は感じられなかったのだが・・・いずれにしてもこれも気づく事ができて幸運だったのだと思う事にした。金額はかさんだものの、安心には代えられないからだ。

さて、新しいエンジンであるが、3日ほど走ってみたところ、調子がいいと思っていた前のエンジンよりもさらに調子がいいように思える。低速トルクはさほど変わらないが、高回転でのピックアップが明らかにいい。これが本来のVTRなのかと感心した。また、今頃の季節であれば朝一でもチョーク無しで軽く一発でエンジンがかかる。
また、二輪でエンジンを交換するという事は、車種にもよるかもしれないが、クラッチ、ミッションまで総取っ替えと言う事になる。と言うわけで、クラッチのタッチが明らかに変わった。前のエンジンでは半クラから繋がりきるところまでの間のタッチが非常に神経質で、いきなりガツンと繋がる感じであった。自分のクラッチワークがよほど下手なのかと思っていたが、今度のエンジンではその辺が非常にスムーズに繋がるため、個体差か、あるいはクラッチに何か異常があったのかもしれない。そこのところもエンジンを交換して良かった点だ。もし、高い金額を負担してガスケットだけ交換していたら、クラッチはあの神経質なままだったかもしれない。ここも今回は運が良かったところだろうと思う。。

いずれにしても、もっと走ってみないとわからないが、今のところは非常に調子よく走る事ができている。バイク屋でもしっかり診てもらった事だし、今度こそは大丈夫だろうと思っている。これからいいシーズンになるので、またがんがん走りたい。

ところで、前のエンジンの時に気になっていた80km/hの振動だが、明らかに少なくなったというか同じようなパルスで振動はあるのだが、その振動の角が丸くなったように思える。そう言う事からも、早く高速道路を試してみたいと思うが、高速無料化が先か、ETC装着が先か・・・。

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有機農業の会合で

先日、有機農業担当者の会合に出席した。

県の関係者のほか、JAの販売担当者、有機農業推進の民間団体、有機や減農薬にこだわった民間産直の経営者や有機農産物を生産する農業法人などが集まり、今後の当地域における有機農業の推進方策について議論を行った。

やはり、というか生産者などの団体が参加しているため、会における共通認識は「安全安心を求める消費者のニーズに合致し、なおかつおいしいものが有機農産物である」というものだ。少なくとも県関係者、中でも技術系の職員はわかっているはずだが、有機農産物は必ずしも安全安心を保証できるものではない。おいしさについては一言では語ることはできないが、これは別エントリーで述べているので、今回は触れない事にしたい。
ともかく、会の進行自体が「安全安心でおいしい有機農作物」という前提で進められている事に違和感を持った。あまりにもそういう前提が当たり前のこととして議事が進められていくものだからつい一言言いそうになったが、以前某偉いさんから「行政の関係者が有機農産物に対して生産者の前で否定的な発言をしないように」と釘を刺されていたためかろうじて「大人の態度」でこらえた。

しかし、本当にこのままでいいのだろうか。行政としても循環型農業の推進を掲げ、有機農業の推進法も施行されている現在、「上の方針に従う」公務員としてはこういった会を滞りなく進行させることも重要な職務であろう。とはいえ、せめて考え方だけでも科学者たらんとしている自分としては、その信条に逆らい続けるのも心苦しいものがある。
有機農産物の生産者が有機というものを「単なるイメージ的な付加価値である」と理解し、戦略として使うのならいいのだが、徹頭徹尾「いいもの」として話が進んでいくので少々つらかった。

もちろん、有機農産物そのものはともかく、それらを栽培し、高品質な農作物とする生産者の努力はすばらしいものである。本気で品質第一を目標に生産されているものは農産物そのものもすばらしいことが多い。しかし、これまでも繰り返し主張してきたように、「有機だから、自然だからいい」というものではない。農業自体すでに自然ではないのだから、品質と収量を上げようと思えば、その自然でない部分を何かしらそれ相応のもので埋め合わせなければならない。それが普通は、農薬であったり化学肥料であったりするわけだから・・・。

しかし、多くの農家や消費者が自然や有機農業とは無条件でいいものと思ってしまっている現状については、われわれのような立場の人間にも多大な責任があるだろう。今回の会でもそのあたりを指摘できなかった自分の態度にも忸怩たるものを感じる。自分はニセ科学批判もやっているが、これではニセ科学信奉者のことも笑えまい。だが、やはり職務的にも、そして人間としても無用に「その場」を荒らすのは得策とはいえないとは思う。大変に厳しい道だとは思うが、ソフトランディングを目指し、一人でも多くの人が正しいものの考え方を身につけてくれるよう努力したいと思う。

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