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2008年9月

「基準値を超えたが摂取しても健康被害はないと思われる」とは?

さて、ここをはじめてから3題続けてバイクの話ばかりしている。それでいて表題が「アグリサイエンティストが行く」なのだから、そろそろアグリサイエンティストらしいことも書いておかないと格好がつかない。そこで、という訳でもないが今回は残留農薬についての話をしてみたい。(とは言いながら、アグリサイエンティストと名乗るのは相当に気恥ずかしいものがある。しかし、そう呼ばれてもふさわしい自分になれるように、このままの表題で自分にプレッシャーを掛け続けたいと考えている)

三笠フーズの事故米を利用した詐欺事件をはじめとして、それ以外にも生産者の勘違い、手違いなどによって農薬の残留した農作物が流通するという事件がたびたび新聞を賑わしている。そのたび「消費者の安全・安心が脅かされている」だのといった報道がなされているが、本当にそうなのか。

新聞紙上で、「基準値の○倍の農薬が残留したので自主回収」などと書かれると、基準値というものがいかなるものか知らない人が不安になるのは仕方がないことだろう。それでいて、「摂取しても健康被害は起こらない」ととってつけたように書かれても「じゃあ安心だね」とはなるまい。

基準値というものがどういうものなのか、その決定に至るまでにどういう手順が踏まれているのか、それを知らなければ基準値越えがどういう意味を持つのか考えろ、心配するなと言ってみたところでどうにもならない。そのあたり、一般向けマスコミでも十分に解説してもらいたいところではあるが、その手の報道があるたびに1から10まで解説するわけにもいかないだろう。それに、一般紙であまり詳しく解説しても読まない人も結構いると思う。

話は横道にそれるが、だからこそ一般教養が必要なのであり、そこから生まれる科学的思考やリテラシーが正しい道を選択する道しるべになるはずで、実生活に役立たないから学校の勉強は必要ないという考え方でいると人生においてずいぶん損をすることになる。受験テクニックを磨くことの是非はとりあえず措いておくとしても、自分の頭で判断するための最低限の教養を身につけるのが義務教育であり、画一的な教育だという批判もあろうが、その最低限の一定レベルを実現するためには画一的なカリキュラムもある程度やむなしと私は考えている。

閑話休題。

さて、では農薬等の残留基準値はどうやって決められているのか。なるべく簡単に解説してみたい。

まず、この程度なら生涯にわたって毎日摂取しても大丈夫な量(ADIといい、単位は体重1kgかつ1日当たりのmg)が決められる。これは、動物実験で得られた無毒性量(急性毒性だけでなく慢性毒性や発がん性、子孫への影響)に安全係数の100を掛けて(というか量そのものを100で割る)算出される。それを、各農作物を普通の人が1日に食べる量からの割合で決めるのだが、すべての農作物にその数値を適用したのでは、複数の農作物を摂取した際にたまたま同じ農薬が使われていた場合ADIを超えてしまうことも考えられる。そこで、各品目の農作物にそのADIを割り振り、たまたま同じ農薬が使われていた農作物を複数食べても残留農薬の摂取量がADIを越えないように考慮され、品目ごとの残留基準値とされるのである。

であるから、そもそもADI自体が毎日摂取して人体に影響のない量である上、複数の品目を食べて、それらにたまたま同じ農薬が使われていてそれぞれが基準値ぎりぎりということは確率的にかなり低いと思われることから、1品目で残留基準値を超えた食品を食べたところで健康に影響するとは普通に考えてありえないといえるだろう。

つまりは、新聞などで書かれている「残留基準値を○倍超えているが、ただちに健康影響はない」というのはこういったことが根拠となっている。中国天洋食品の冷凍餃子事件のように、味に影響するほど農薬が残留しているのとはレベルがまったく違う。もし、件の事故米が学校給食に混入していたとして、食べてしまったものは仕方がないし、心配することはまったくないレベルである。

では、三笠フーズの事故米の何が問題なのかというと、あれは消費者の安全(安心は別として)を脅かす事件なのではなく、純粋に法律上の問題、そして詐欺事件なのである。食品としては(法律上)使えないということで格安で仕入れたものを、流通経路を複雑化することで食品用に化けさせ、高値で食品メーカーに売りつける、まさに詐欺そのものである。しかも、間に実体のないペーパーカンパニーまで噛ませているのだから、相当悪質だといえる。多くの酒造メーカーや中小の菓子製造業者に甚大な被害をもたらし、その責任は重い。個人的には、三笠フーズには表舞台から退場していただいても結構だと思っている。もちろん、監督者としての農水省にも重い責任はあるが、それはまた別問題である。

これに対し、生産者の勘違いなどで若干の基準超過をしてしまった農作物については、安易に回収に走るのもどうかと思う。そうは言っても、一般消費者のリテラシーが十分であるとはいえない現在(念のため断っておくが、一般消費者を見下しているのではない)信頼保全という見地から産地の将来にわたってのリスクとベネフィットを秤に掛けて考えれば致し方ない面がある。ではあるが、それがそのままでいいというのはあまりにも経済的側面から見ても損失が大きく、消費者にとっても得策とは言えまい。

そのあたり、基準値の意味も理解しているとは思えず、また読者に対して理解を求める努力もしているとは思えないマスコミの報道姿勢にも大いに疑問を持つところであるが、農業にかかわる仕事をしている自分にも反省すべきところは多い。だからという訳でもないが、少しでもたくさんの人に基準値と残留超過がどのような意味を持つのか理解してもらい、健康被害がない程度であれば残留基準値超過農作物を何らかの手段を講じた上で流通させることができるようにできれば、と思ってこのエントリーをあげさせいただいた次第である。

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前車 アヴェニスについて

Avenis01upさて、一応前の愛車であるアヴェニスについても触れておかなくてはならないだろう。

主要諸元については、探したのだが見つからなかったので、次善策として次のページを紹介しておくので、こちらを参照頂きたい。
これを見ると、最高出力は14馬力となっており、自分のCBX125カスタムが最後期型であれば13馬力なのでこちらの方がパワーがあることになる。いずれにしても、スクーターとしては高回転、高出力のエンジンであり、比較的大柄のボディには必要なパワーであったと思う。

原付二種のスクーターとしては大柄なボディのため、直進安定性は非常に良好である。ただ、そのためか、逆に12インチタイヤの割りには曲がりにくい。また、バンク角が浅く、ちょっと気合いを入れてコーナーリングすると簡単にセンタースタンドが接地してしまうため、ワインディングはやや苦手である。
しかし、ボディに合わせてシートも大柄で直進安定性も良いため、比較的長距離でも疲れにくい。シート形状が自分には合ってなかったため、お尻は痛くなりやすかったがそれも車格を考えれば十分許容範囲内であった。

自動遠心クラッチ+無段変速Vベルトのため速度をいったんゆるめた後の再加速はややかったるいものの、スタートダッシュはなかなかで、信号ダッシュでフルスロットルにすると、普通の発進をしている自動車ならあっという間にバックミラーに追いやることができる。幹線道路の自動車の流れにも余裕で乗ることができ、不安感もない。エンジンについては走っていればほぼ文句はないが、十分に暖まった後でも信号待ちでアイドリングが止まることがあり、また始動性も良くないので、そのあたりはキャブが神経質な性質のものなのだろうと思う。

シート下トランクは大容量を謳っていた割りにはLサイズのフルフェイスヘルメットを入れるとあまり余裕はない。お買い物バイクに使うには、ステップもフラットではないし、ヘルメットホルダーも使いにくい形状だったため、リアボックスは必須だと思う。ただ、リアキャリアも特殊な形状だったので、リアボックスはつけにくかったが・・・。

最後に、サスペンションだが、フロントはストロークが足りず、歩道の段差でも底付きするのか、かなり強いショックを感じた。また、段差の大きい歩道の場合、やはりセンタースタンドを擦ることがあり、時々ドキッとさせられた。ちなみに、筆者の体重は67~68kgである。また、身長は171㎝だが、足が短いせいか両足をつくときはかかとまではつかず、足つきはあまり良くなかった。

とまぁ、どちらかというと文句を多くつけてしまったが、大きすぎず小さすぎないボディサイズ、このクラスでは比較対象がない程良くできたスタイルなど美点も多いバイクだった。これより大きければすり抜けに気を遣うし、小さければ50ccとあまり変わらなくなってしまう、まさに自分にジャストサイズだった。
気に入っていたし、もっと長く乗るつもりでいたので、つい最近ウエイトローラー、ドライブベルト、クラッチシューを交換したばかりなのだがオークションでCBXを落札してしまったために手放さざるを得なかったのが残念である。

CBX125カスタムは、アヴェニス以上に気に入っているが、やっぱり便利に乗るならスクーターだな、と自分勝手なことをつい考えてしまうこの頃である。

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フロントフォークからオイル漏れ

こないだ届いたばかりのCBX125カスタムであるが、早くも入院と相成った。

フロントフォークを詳細に観察してみると、オイル漏れが起きていることが判明。このまま乗っていてもフォーク自体はしばらくなら大丈夫なようだが、右のフォークから漏れているため、フロントブレーキのディスクがオイルで汚れている。
これでは、制動に影響しかねない。と言うか、しているはずである。なので、修理に出すことになった。ディスクだけこまめに拭く、と言う手もあるが、フォークオイルを交換するだけで乗り心地にも影響するようなので、長距離を安心して走れるようにするためにもこの際修理しておくことにしたのだ。

で、香川県で唯一のホンダドリームに持ち込み、見積もりを依頼すると・・・1万9千円近くかかるという。しかし、安全には変えられない。自分で直す技術もない。なので、部品を発注し、今はホンダドリームからの連絡待ちである。今、小遣いでは負担できないので嫁さんから借り、ボーナスから返す予定である。

ボーナスでは、シートの張り替えもしたいところなのだが、さて、どうしたものか?

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CBX125カスタム まずは概要とインプレッション

Cbx125_02bさて、我が家に19年ぶりとなるマニュアルミッションバイクであるCBX125カスタムがやってきた。ホンダのHPにある愛車自慢には16年ぶりと書いて投稿したのだが、16年ぶりはバイクそのものであった。CBXが来る前に乗っていたアヴェニスが16年ぶりのバイク復帰であり(笑)、アヴェニスに2年半ほど乗ったあとマニュアルミッションバイクを19年ぶりに乗ることになった、という訳だ。

で、まずはCBX125カスタムの概要である。主要諸元等についてはこちらを参照頂きたい。たぶん、私のCBXはこの型だと思うのだが、何せ原付2種なので正式な年式が分からない。そのうち、車台番号でホンダに問い合わせてみようと思っているのだが、ぐうたらものの私のこと、いつになることやら。

で、乗ってみた感じとしては、小さいながら4スト単気筒の味はしっかりあると思う。少々高めのギアを選んでもドコドコッと鼓動感を感じさせながらトルクが立ち上がり、しっかり加速していく。もちろん排気量なりのトルク感しかないわけではあるが、ここら辺が同じ4スト単気筒125ccでもVベルト無段変速の前車アヴェニスとは違うところである。
そういった低速トルクを感じさせながらも高回転まで一気に回り、アクセルを思い切りあおるとレブリミットの1万1千回転までは軽々と達する。さすが、ホンダエンジンの面目躍如と言った趣である。
ただし、それだけ回さないとはっきり言って遅い(笑)。坂道には非常に弱い。また、同じエンジンを積むCBX125Fに比べ、トップギアのギア比が高く、Fの6段に対しカスタムは5段のためよりワイドレシオである。この辺がややスポーツ走行には不満な点で、Fに対してカスタムはよりクルージング向けのセッティングといえるだろう。

乗り心地は非常にいい。まず、これは色々な人が言っていることだが、シートのボリュームが結構あり、クッションも柔らかく、お尻が痛くなりにくい。また、アメリカンスタイルのためシートの段差が大きく、腰をきちんと支えてくれるため長距離でも楽そうである。
サスペンションもストロークが大きく、ブレーキ時のフロントのダイブは大きいような気がするが、けして不快なことはなく、しっかり受け止めてくれる。段差を乗り越える時のダンピングもいい感じで、たぶん疲れにくいと思う。しかし、これは実際長距離を走ってみないと分からないので、いずれ再度感想をアップしてみたい。

ライディングポジションはそのアメリカンスタイルから想像するより普通である。外見からすると、もっと足を投げ出したポジションを思い描きがちであるが、ビジネスバイク風とも言えるステップ位置だと思う。それにアメリカンのドロップハンドル(?)を組み合わせているので、何とも言えないポジションになっている。しかし、慣れてくるとそれも気にならなくなってきたのだが・・・。足を投げ出すと言えば、前車アヴェニスがステップの前方に足をおくと投げ出したような格好になり、そちらの方がよりアメリカンっぽかったように思える(笑)。

いずれにせよ、バイクに乗りたい、いじりたい、ツーリングに行きたい、そういう気分を強くもたせるバイクである。マニュアルミッションであるということ以外に、このバイクには何かがあるように思える。アヴェニスはスクーターであったため、便利さ、手軽さではCBX125カスタムをはっきり上回っていたし、エンジンは高回転型の結構パワーのある良いバイクだったが、これほどまで自分の気持ちをかき立てるものではなかった。

アヴェニスを手元に置いておいたままCBX125カスタムを迎え入れることができれば、さらに充実したバイクライフになったと思うが、住宅事情とお小遣いがそれを許してくれなかった(爆)。アヴェニスは広島の人の元へお嫁に行ってしまったが、新しくCBX125カスタムというパートナーを得て、これからより自分の時間を充実していきたい。

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